特定電子メール法について
皆様もご存知かと思いますが、特定電子メール法の一部改正法案が、平成20年5月30日に参議院で可決・成立し、平成20年6月6日に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律の一部を改正する法律」として公布されました。
施行日は、公布の日から起算して6ヶ月以内となっていますので、普通に考えれば今年中と考えて良いでしょう。
顧客等へメール送信を行っている企業や団体は、この法律をきちんと把握して適切な対応をとる必要がありますので、何に注意すべきなのかを説明したいと思います。
- 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)
(平成20年改正法による改正後の条文)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/h20kaisei_amendedtext.html
送信先についての制限
この法律では、第3条で「送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。」とし、送信先を限定しています。
つまり、次のいずれかに該当する人にのみメールを送信できるということになります。
- メールを送ってほしいと通知した人
- メールを送っても良いと同意した人
- メール送信者に総務省令で定めるところによりメールアドレスを通知した人
- メール送信者と取引関係にある人
- 総務省令で定めるところによりメールアドレスを公表している団体
- 総務省令で定めるところによりメールアドレスを公表している営業を営んでいる個人
総務省令で定めるところによりという部分は、まだ具体的には公表されていないようなのでなんとも言えませんが、該当しない場合は、この法律に違反することになるのです。
ただ、メールはすべて対象になるかといえばそうではなく、「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メール」がこの法律が対象としているメールです。
したがって、広告や宣伝でないメールはこの法律の制限を受けないことになります。
メール送信の同意の記録保存
第3条2項には、メールの送付を同意したことを証明する記録を残す必要があると規定しています。
この既定の詳細は、総務省令で定めるとなっているので具体的なことは分かりませんが、メール送信の同意を後から確認できる方法でとっておく必要があり、それをきちんと管理しておかなければならないことになります。
メール送信を拒否されたら送らない
第3条3項ですが、メール送信を拒否する旨の通知を受けたときにはそれ以後メールを送ってはならないという非常に当たり前のことです。
メールへの表示義務
送信するメールには、次の表示が必要になります。
- 送信者の氏名または名称
- メールの拒否を通知するためのメールアドレス等
送信者を偽ってはならない
メールを送信する際に、宛先ではなく送信元の身元を偽ってはならないというもので、送信者やメールアドレスは実在する自身のものでメールを送るのが基本ということです。
架空電子メールアドレスへの送信を禁止
一斉配信で多数の宛先にメールを送信する際に架空のメールアドレスを対象にメールを送信することを禁ずるもので、プログラム等で宛先を自動生成してメールを大量に送るようなことは違反になるということです。
法人への罰金の最高額は3000万円
違反した本人が罰せられるだけでなく、法人も罰金刑となり罰金の最高額は3000万円です。
これは、送信者(送信元)の情報を偽って送信した場合などに限定されていますが、かなり高額な罰金ですので、違反行為に対する抑止効果はある程度期待できるでしょう。
基本的には、広告や宣伝のメールが同意なく送信できないというものですが、どのように同意を得るかや、同意を記録として保存しておく必要があるなど、メール送信を行う場合に対応が必要な点があります。
また、メール送信の同意については、受信者が同意したことを忘れて問い合わせてくることもありますので、いつ、どのような方法で、どんなメールを送ることの許可を得たなどすぐに回答できるようにしておく必要があります。